残酷なまでの無垢な悪意~女王はかえらない~
皆様どうも、餅田です。
さて、今回私が紹介する本はこちら。
女王はかえらない
作者は降田天さん。このミス大賞も受賞しましたね。
この作品の1番の見どころはなんといっても
幼いからこその純真無垢な悪意ではないでしょうか。
幼い小学生たちの間に生まれた小さな波紋、最初は小さかったそれが次第に大きな波となって彼女たちをどんどんと狂わせていく様は誰にでも存在する“悪意”というものをより感じさせてくれますね。
時として子供は、純粋ゆえに大人よりも残酷なものです。
自身が面白半分で意味も碌に理解せず放った嘲笑の言葉が、相手にどれだけの苦しみを与えるかも、自己に伴う責任や世の中の軋轢、罪というものの重大さも、何一つ認識してはいないのですから。
そして大人になってしまえばなんてことない些細な出来事、些細な衝突だけでも時として友情というものは、粉々に砕けてしまうこともあるのです。勿論、そこから苦楽を共にして仲を深めることができる人もいるでしょう。
結局は自分たち次第なのですから。
そんなことを当時の私に深く考えさせられる作品でした。
でも、私はこの作品は決して他人事だとは思えないのです。
皆様は学生の頃、仲のいいグループを作っていましたか?
クラスメイトの悪口を、こっそりグループ内で言ってはいませんでしたか?
悪口を言う子たちを(自分には関係ないから)と、傍観してませんでしたか?
この作品はそういった小さな、本当に小さな無垢で無知な悪意が大きく育っていった結果だと私は思います。そしてそれは学生のみに限らず、軋轢の多い社会人にも言えることなのではないでしょうか?
あなたの放った言葉や何気ない行動は、誰かを傷付けていないと言い切れますか?
もしかしたら、気づいていないだけでこのようなことが近くで起こっているのかもしれません。
その時あなたは、どうしますか?
現代に生き、いじめや闘争が目に見えてではなくとも水面下で日常化しているようなこの社会において、無関係だと言い切れる人はいないのではないでしょうか。
読み進めていった末の驚きの結末にも大注目ですが、そういった自分自身や周囲を見つめなおすきっかけにも、もしかしたらなるかもしれませんね。
それでは、今宵はこの辺で。
See you in the next letter.