残酷なまでの無垢な悪意~女王はかえらない~
皆様どうも、餅田です。
さて、今回私が紹介する本はこちら。
女王はかえらない
作者は降田天さん。このミス大賞も受賞しましたね。
この作品の1番の見どころはなんといっても
幼いからこその純真無垢な悪意ではないでしょうか。
幼い小学生たちの間に生まれた小さな波紋、最初は小さかったそれが次第に大きな波となって彼女たちをどんどんと狂わせていく様は誰にでも存在する“悪意”というものをより感じさせてくれますね。
時として子供は、純粋ゆえに大人よりも残酷なものです。
自身が面白半分で意味も碌に理解せず放った嘲笑の言葉が、相手にどれだけの苦しみを与えるかも、自己に伴う責任や世の中の軋轢、罪というものの重大さも、何一つ認識してはいないのですから。
そして大人になってしまえばなんてことない些細な出来事、些細な衝突だけでも時として友情というものは、粉々に砕けてしまうこともあるのです。勿論、そこから苦楽を共にして仲を深めることができる人もいるでしょう。
結局は自分たち次第なのですから。
そんなことを当時の私に深く考えさせられる作品でした。
でも、私はこの作品は決して他人事だとは思えないのです。
皆様は学生の頃、仲のいいグループを作っていましたか?
クラスメイトの悪口を、こっそりグループ内で言ってはいませんでしたか?
悪口を言う子たちを(自分には関係ないから)と、傍観してませんでしたか?
この作品はそういった小さな、本当に小さな無垢で無知な悪意が大きく育っていった結果だと私は思います。そしてそれは学生のみに限らず、軋轢の多い社会人にも言えることなのではないでしょうか?
あなたの放った言葉や何気ない行動は、誰かを傷付けていないと言い切れますか?
もしかしたら、気づいていないだけでこのようなことが近くで起こっているのかもしれません。
その時あなたは、どうしますか?
現代に生き、いじめや闘争が目に見えてではなくとも水面下で日常化しているようなこの社会において、無関係だと言い切れる人はいないのではないでしょうか。
読み進めていった末の驚きの結末にも大注目ですが、そういった自分自身や周囲を見つめなおすきっかけにも、もしかしたらなるかもしれませんね。
それでは、今宵はこの辺で。
See you in the next letter.
最初の1歩-読書を始める本-
どうも皆様、餅田です。
さてさて皆様、いよいよ本の紹介か…と思われていると思いますがその前に1つだけ。
皆様は読書をこれから始めるにあたり、最初の1冊はどのような本がいいと思われてますか?
有名な作家の本?ためになりそうな本?最近話題の名作?
それぞれの答えがあり、その答えの分だけ最初に薦められる本もあるでしょう。
私の答えはいたって単純
「小話の詰め合わせ」です。
もっとわかりやすく言えば短編集でしょうか。
ミステリー、ファンタジー、恋愛、人間ドラマ、感動、ジャンルは問いませんがまず初めの1歩は少しの時間で簡単に読める短編集でで踏み出してはいかがでしょう。
読書に抵抗のある人の理由ってなんでしょうか。
- 忙しい
- 買う費用がもったいない
- 頭のいい人が読むイメージ
決して理由は1つではないでしょうし、この中に当てはまらない人もいるでしょう。
ですがこういった苦手意識の中には『時間をかけて読み進めていく拘束感』が関係しているのではと私は思っております。
「本なんてそんなものだろ。」
そうおっしゃる方もいるでしょうが意外とこれ、重要かもしれませんよ?
少し、例題を出してみましょうか。
本は苦手だけど漫画は大好きなA君。
運動が大好きな彼は、スピード感あふれるアクション漫画なら何冊でも読んでいられます。でもその漫画の原作小説を読んでみようとしても、シリーズの1冊ともたずに飽きてしまいます。
バリバリのキャリアウーマンのB子さん。
空いた時間を有効活用しようと考えた彼女は友人達が口を揃えて薦めてきた巷で噂の恋愛小説を購入しました。しかし細々とした空いた時間に少しずつ読んでいたため、途中で内容も忘れ始め、仕舞には読むことを途中で放棄してしまいます。
さて、両者に共通することは何でしょう?
それこそが私の考える読書離れの最大の理由『拘束感』なのです。
A君はパラパラと流し読みでき、絵による表現で飽きの来にくい漫画なら読めます。
しかし全ての描写を文で表現し、漫画では1、2ページで済む展開が何ページも続く小説だと目で追うのが面倒になり、更にシリーズ物でこれが何冊も続くということに耐えられません。
B子さんは空いた時間に3,4ページ読んだり、1章丸ごと読めたりとまちまちです。
たまにはいいシーンの途中で区切りができてしまい、最悪読み返すことも。そんなことが続いては、どんなに人気の名作でも読む気をなくしてしまいますよね。
これは極端な例でしたが、一般的な文庫本のページ数は大体300~400ページ。200ページ程の本もありますがそれだけの時間を拘束され、費やして読むというのは…やはり最初の頃は苦痛ですよね。
そんな皆さんに私がおすすめするのが【短編集】なのです!
短編集の最大の魅力はなんといってもその名の通り1冊で複数個の話が読めるということ。それはつまり、1つの話の長さが短いということでもあります。(超ざっくり)
1つ1つの話がそこで完結しているためサクッと短時間で1つ読み、また別の日に次の話を読んで…ページ数はまだあったとしても、そこでこの話は「完結した」という事実はあなたの中で満足感や達成感を生んでくれるのではないでしょうか?
それでは長くなりましたが、そんな人におすすめする短編集…3冊ご紹介しましょう。
1.ボッコちゃん
作者:星新一
おすすめの短編集は?そう聞かれてこの作品を答える本好きは決して少なくありません。
こちらの作品は短編よりも更に短い『ショートショート』と言われるジャンルで、数ページのお話がなんと驚くなかれ、50編もぎっしり詰め込まれてるのです!
ジャンルも多種多様ですが一貫して言えるのは、作者である星新一さんの冴えわたる感性の素晴らしさでしょうか。1篇読み終わった後早く次の話を読みたい!そんな風に思わせてくれる切れのよさと世界観は、読書の面白さを確かに教えてくれますよ。
個人的に一番のお気に入りは「妖精」です。内容は…是非皆様の目で確かめてください。
2.ハッピーエンドにさよならを
作家:歌野晶午
こちらの作品は11編からなるミステリーとホラーを掛け合わせたような短編集です。
最初に注意しておきますとこの作品…どの話もめっちゃ後味悪いです。バッドエンドが苦手という方にはお薦めいたしません。いや、もう、本当にタイトルが物語っているようにハッピーエンドのハの字もございません。
しかし、そこがいいんです!
なんともリアルさを感じる表現やどこか社会に訴えかけるような皮肉った文面に引き寄せられ、読んだ後感嘆のため息が出てしまう…そんな魅力の詰まった作品です。
これを読めばきっとあなたも歌野さんのほかの作品が読みたくなるかも?
3.まぼろしのパン屋
作者:松宮宏
美味しそうな表紙に釣られておもわず手に取った作品(笑)
食べ物が題材になった3編なのですが、よくあるほんわか系とはひと味違うのがこの作品!どちらかと言えば人情話が好きな方におすすめしたいですね。
まぁ3つの主人公がサラリーマン(おっさん)、医者(…うーん)、ヤンキー(ヤンキー)なので間違ってもほんわかとはなりませんね。しかしながら不思議な世界観やテンポの良さ、最後まで読み進めていくとちょっぴりホッコリしちゃう…満足感を得る作品でした。
男らしさもあり心温まる何かもあり、読んで少し小腹が減ったならちょっとそこまでパンを買いに行きませんか?
さて、いかがでしたか?
本の読み方は人それぞれですが、もしこの話に少しでも共感したらまずは短編集で本の世界への1歩を踏み出すのもいいかもしれませんよ?
それでは今宵はこの辺で。
See you in the next letter.
最初の1通-皆様はじめまして-
皆様はじめまして。
このブログの管理人を務めます、餅田 伊緒(もちだ いお)と申します。このサイトでは主に文庫…小説の紹介をしていくつもりです。
そう、何を隠そう私…めっさ読書好きのいわゆる本の虫なのです!!(デデドン)
…いや、まぁ気が向いたときに読むのでそれは言い過ぎかもしれませんが。私の母が大層本が好きだった為自然と時間のある時は本を読んで暇を潰すという習慣が子供の頃から染みついておりました。今でこそ様々な趣味を持っておりますが、やはり私にとって
“本を読む”
この時間は心が安らぐ時間であると共に新たな可能性へを足を踏み出す儀式なのです。
しかし今のネット社会において、本を持続的に、自ら読むという行為自体少なくなりつつあります。本を読んでみたい、でも時間がない、きっかけが掴めない…そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか?
このサイトでは本が好きな人だけでなく、普段あまり読書をしないという方にも本の世界に興味を持ってもらいたい、そんな思いで綴らせていただこうと思います。
…とまぁ、そんなことを書きましたがあくまでもそれはメインディッシュ。
箸休めとして私のそのほかの趣味についてもちらほらと綴りますのでどうぞ、そちらもお楽しみに。レース編みなどの手芸、歌、ゲーム、人間関係など様々ですので…
メインは絞ってますが最早雑記ですね、はい。
まぁ、気長にマイペースに…「人様に迷惑をかけない範囲での自由奔放」が私のモットーでございますのでどうぞ皆様、気が向いた時、少し手持無沙汰な時、新しい本を探す時、ほんの1、2分の時間をこのサイトで使ってみてはいかがでしょうか?
それでは、初めですので今宵はこの辺で…
ここまで読んでいただきありがとうございました。
See you in the next letter.